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対角線構図
- diagonal composition
- 別名: 対角構図
- 別名: 斜線構図
画面の対角線上に被写体や線を配置する構図。奥行きや動きを感じさせる技法として紹介される。
図で見る
画面の中で何が起きるか
水平・垂直の配置より視線の動きが大きくなり、奥行き感や躍動感が生まれるとされる。
向く被写体・場面
- 道や川など奥行きのある被写体
- 階段・線路など直線的な構造物
- 動きを感じさせたいスポーツ・乗り物の撮影
つまずきやすい点
- 対角線が中途半端な角度になり、単に斜めに傾いた写真に見えてしまう
- 対角線上に置いたつもりが水平に近い配置になり効果が出ない
どこまで裏が取れているか
この構図についてよく言われることを、出典に当たって確かめた結果です。出典が見つからなかったものは、見つからなかったと書いています。
- 実証はあるが条件が限定的 「対角線が視線を運ぶ」という説明は、視線計測にかけると素直には出てこない。《最後の晩餐》14点を用いた研究では、ティントレットの2点について、参加者の多くが遠近法空間の対角構造を「この絵の構図線」として描いたのに対し、同じ参加者の視線は対角線に沿うよりも水平方向に動き、対角線との重なりは部分的だった。バロッチの作品でも、描かれた対角線に対応する視線の跳躍はほとんど見られず、視線は顔・動きのある手・犬といった特定の点に集まり、その間を最短経路で結ぶ動き方をしていた。 ウィーン大学の美術史専攻の学部生32名(性差を排すため全員女性、19〜51歳、平均25.7歳)・刺激は12〜16世紀の《最後の晩餐》14点のみ、という限定条件下の単一研究。しかもこれは論文全体の結論ではない。この研究は総体としては「構図は視線を導く」という側の結論を出しており、対角線について一致が弱かったというのはその内側の観察である。著者ら自身、相関を否定した先行研究2件と結論が食い違うと明記している。 出典: Sancarlo, Dare, Arato & Rosenberg (2020)「Does Pictorial Composition Guide the Eye? Investigating Four Centuries of Last Supper Pictures」Journal of Eye Movement Research 13(2)
- 二次資料でしか確認できていない 測定の結果とは対照的に、「斜めに置くと動きが出る」という説明は資料の側では繰り返し書かれている。ニコンの写真講座は対角線構図を「三分割法と同様、どんな場面でも使えてまとまりある画になりやすい」構図とし、「ダイナミックな対角線構図は画面に動きやリズムが出て、風景写真では奥行きを感じさせることもできます」と説明している。 カメラメーカーの写真講座が1件そう説明している、というところまでしか確認できていない。測定や実験の裏づけは示されていない。 出典: 斎藤勝則「Lesson12:写真がより良くなるフレーミングと構図」ニコンイメージングジャパン(2024年6月18日 文章改訂)
- 二次資料でしか確認できていない 同じ説明は日本の学会の講演論文にも現れる。画像の審美的品質を自動評価するシステムを提案した論文は、基準とする代表的な7つの構図の1つに斜線構図(Diagonal-like Composition)を挙げ、「斜線によって静的な写真に動感が盛り込まれる」と説明している。 この論文の主題は構図の自動評価システムであり、7つの構図を説明したこの箇所には文献参照が1つも付いていない(本文の他の箇所では[1]〜[17]の参照記号を使い分けている)。効果を測定した結果ではなく、システムを組むための前提として置かれた説明である。査読誌ではなくシンポジウムの講演論文集に収録されたもの。 出典: 関悠介・萩原将文 (2015)「色彩調和と構図に基づく風景画像の審美的品質評価システム」第31回ファジィシステムシンポジウム講演論文集, pp.661–666
他の構図の主張とあわせて確かめたい場合は根拠の強さで見るもご覧ください。