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写真の構図を図で理解する
構図の解説は、作例写真を見ても「どこがどう効いているのか」が分かりにくいことがあります。 このサイトでは構図を模式図に落とし、補助線と被写体の位置関係だけを取り出して示します。 各ページには推奨例に加えて、つまずきやすい配置の図も併せて掲載しています。
構図パターン一覧
推奨例主役を左の縦線上に、水平線を下の横線に合わせた例。空と地面が1:2に分かれる。 三分割法
画面を縦横それぞれ3等分し、その分割線の上や交点に主被写体・水平線を置く考え方。中央から少しずらすことで被写体の周囲に空きが生まれ、画面に向きが出やすくなるとされる。
推奨例手前から奥へ伸びる道が、主役の建物の足元で終わる例。線をたどった先に主役がある。 リーディングライン
道・川・柵・手すりといった線状の要素を使って、画面の手前から主被写体へ視線を導く考え方。線の行き先に主役を置くことで、画面の中に見る順番ができやすくなるとされる。
推奨例背景は主役より控えめなトーン・サイズで見せる 日の丸構図
被写体を画面のほぼ中央に大きく配置する構図。主役を迷いなく示せる一方、単調に見えやすいとされる。
推奨例軸の左右で要素の位置・大きさをそろえる シンメトリー構図
画面の左右または上下を対称に配置する構図。水面への映り込みや左右対称の建築物などで使われるとされる。
推奨例左上から右下への対角線上に要素を並べ、奥行きを出す 対角線構図
画面の対角線上に被写体や線を配置する構図。奥行きや動きを感じさせる技法として紹介される。
推奨例3点が三角形の頂点になるよう配置し、どっしりとした安定感を出す 三角構図
被写体や要素を三角形の頂点になるように配置する構図。安定感を出す技法として紹介される。
推奨例曲線に沿って要素を配置し、視線を手前から奥へ誘導する 曲線構図
道や川などの曲線的な要素を画面の中に配置し、視線を奥へ誘導する構図。C字型・S字型として紹介されることが多い。
推奨例画面をちょうど半分に分け、主役は下側の三分割の交点付近に置く 二分割構図
画面を上下または左右に均等2分割する構図。空と地面、陸と海など性質の異なる要素を対比させる際に使われるとされる。
推奨例手前の要素で画面周囲を囲み、中心の主役へ視線を導く トンネル構図
手前の物体で画面の周囲を囲み、その先に被写体を配置する構図。トンネルや木々の間などを額縁のように使う技法として紹介される。
推奨例線が集まる一点に主役を置いた例。収束点を画面の中央から外すと、広がる側と詰まる側で余白の量が変わる。 放射線構図
画面の一点から外へ広がるように、線や要素を並べる構図。線が集まる一点に視線が集まり、そこから外へ向かう広がりが強調されるとされる。日本語版Wikipedia「構図」では放射状構図として、リーディングラインの一種として整理されている。
推奨例手前の要素で四方を囲み、内側に空いた領域へ主役を置いた例。囲みが画面の約半分、主役の周りに残る空きが約半分。 額縁構図
手前にある物で画面の周囲を囲み、その内側に主役を置く構図。囲みが視線の逃げ道をふさぐため、内側に残った領域へ視線が集まりやすいとされる。手前の物で画面の縁を括るという点では西洋絵画のルプソワール(repoussoir)と重なるが、repoussoir は左右どちらか片側に置く手法として定義されており、四方を囲む形とそのまま同じものではない。
推奨例主役を左から1/4の線上に、水平線を下から1/4の線に合わせた例。空と地面が3:1に分かれる。 四分割構図
画面を縦横それぞれ4等分し、その分割線や交点に主被写体・水平線を置く考え方。三分割法より線が1本ずつ多く、被写体を端に寄せる位置と中央線の両方を選べるのが違いとされる。
推奨例左右だけを手前の要素で挟み、上下は開けたままにした例。中央に縦長の帯が残り、そこに主役を置く。 サンドイッチ構図
画面の左右両端だけを手前の要素で挟み、上下は開けたまま残す構図。額縁構図のうち、周囲全体ではなく両端だけを囲む形のものを指して呼び分けることがあるとされる。ただし挟む向きを左右に限らない使い方もあり、この名前が指す範囲は資料によって食い違う。
推奨例大きい要素と小さい要素を同じ画面に入れ、面積の差そのものを主題にした例。接地する線をそろえると差が読みやすい。 対比構図
性質の違う2つのものを同じ画面に入れ、その差そのものを主題にする構図。大小・明暗・新旧・粗密などが対比の軸に使われる。差が読み取れる程度に離れていることが条件とされる。
推奨例渦が最も細かくなる点に主役を置き、他の要素を螺旋の線上に乗せた例。主役は画面の左上寄りに来て、残りの3/4が空きになる。なお、ここに引いてあるのは黄金螺旋(成長率が φ の対数螺旋)で、四分円をつないだフィボナッチ螺旋そのものではない。作例に重ねられる渦もたいていこちら側で、継ぎ目がなく曲率がなめらかに変わる理想化された曲線のほうが選ばれる。 フィボナッチ螺旋構図
渦を巻きながら内側へ収束していく螺旋を画面に重ね、その中心に主役を置く構図。「自然界にも現れる美しい比率」として広く紹介されるが、黄金比の美的優位性を裏づける実証は現在も決着しておらず、オウムガイの殻などを黄金螺旋とする説明には明確な反証がある。螺旋そのものを「主役を端に寄せつつ、視線が画面全体を一周する配置」の目安として使う分には、他の構図と同じように扱える。
推奨例キヤノンの用語集の定義(対角線に別の頂点から垂線を下ろした交点)で作図した例。3:2の画面では交点は各辺の長さに対して約30.8%/69.2%の位置に来る。図には2本の対角線だけを描いており、垂線そのものは描いていない。 黄金分割構図
画面に対角線を引き、別の頂点からその対角線に垂線を下ろした交点(黄金分割点)に主被写体を置くとされる構図。ただし「黄金分割点」という語は出典によって画面上の別の点を指しており、辺を黄金比 1:1.618 に分割した点(各辺の約38%/62%)を指す解説もある。ここでは両方の説明を併記したうえで、図はキヤノンの用語集の定義で作図している。
推奨例各辺を 0.382/0.618 の位置で分けたグリッドに合わせた例。主役を左の縦線に、水平線を下の横線に置いている。三分割(0.333/0.667)より線が中央寄りになる。線の位置は辺の長さに対する比なので、画面比が変わっても動かない。 ファイ・グリッド構図
画面を 1 : 0.618 : 1 の比で分けたグリッド(分割線は 0.382 と 0.618 の位置)の線上や交点に主被写体を置く構図。三分割法の 1:1:1 より真ん中の帯が狭いのが違いとされる。ただし前提にある「黄金比が美しい」という主張には、実証と呼べる裏付けが確認できていない。
推奨例中心を除いた4つの交点のうち、左下の点に主役を置いた例。交点は各辺の長さに対してちょうど25%/75%の位置で、画面比が変わっても動かない。中井氏の定義は「縦に4分割した線」だが、縦線だけで引いても縦横に引いても交点の4点は同じ位置になるため、図では縦横の4等分線を描いている。 レイルマン構図
画面を4等分する線と2本の対角線が交わる点のうち、中心を除いた4点に主題を置く構図。鉄道写真家・中井精也氏がニコンの写真講座で「レイルマン比率」として示している方法で、交点は三分割法よりも画面の隅に寄る。
推奨例広い空間の中に小さな被写体をひとつだけ置いた例。点を中央から外したことで、右側に広い空きが残る。 点構図
広い空間の中に、小さな被写体をひとつだけ「点」として置く構図。被写体そのものより、それを囲む空間の広さを見せるための配置として紹介される。日本語の写真解説でよく見かける呼び方だが、由来や提唱者を示す資料は見つけられなかった。
推奨例同じ形を等間隔で並べ、1つだけ形を変えた例。反復が「地」となり、外れた1つが「図」として浮き上がる。 パターン構図
同じ形を等間隔で繰り返し並べ、その反復そのものを画面の主題にする構図。反復の中に1つだけ違う要素を入れて、そこへ視線を集める使い方も併せて紹介されることが多い。写真の構図技法としての初出は確認できていない。
推奨例「く」の字に折れた線に沿って手前・折れ点・奥を配置した例。折れ点に主役を置いている。折れ点で進行方向が約119度変わる。線は平滑化せずに直線でつないでいるので、図の折れ角は実際の角度そのもの。 くの字構図
「く」の字に折れた線に沿って要素を配置し、視線を一度横へ振ってから奥へ進ませる構図。曲線構図が滑らかにつながるのに対し、折れ点がはっきりしているのが違いとされる。呼び方の由来を示す資料は見つけられなかった。
このサイトの読み方
構図の名前は流派や書き手によって指す範囲が異なることがあります。写真の教科書では、名前ではなく画面の中で何が起きるかを図で示すことを中心に据え、名称の違いは別名として併記しています。 用語の由来や数値など、出典なしには言い切れない事柄は、出典を示せる場合にのみ記載しています。
各構図ページと現像編で確かめた事実主張は、確かさの度合いごとに根拠の強さで見るにまとめています。レイルマン・黄金分割・三分割法・ファイ・グリッドの4つは、4つのグリッド位置をくらべるで線の位置そのものを数直線で比較しています。