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サンドイッチ構図
- sandwich composition
画面の左右両端だけを手前の要素で挟み、上下は開けたまま残す構図。額縁構図のうち、周囲全体ではなく両端だけを囲む形のものを指して呼び分けることがあるとされる。ただし挟む向きを左右に限らない使い方もあり、この名前が指す範囲は資料によって食い違う。
図で見る
画面の中で何が起きるか
左右の端が手前の物で埋まり、中央に縦長の帯だけが開いた状態になる。視線は横方向へ逃げ場を失い、帯の中を上下に動く。上下が開いているぶん、額縁構図より閉塞感が弱く、空や地面をそのまま見せられる。挟む要素の幅がそのまま帯の幅を決め、両側の幅が違うと帯の中心が画面の中心からずれるため、主役の置き場所も帯に合わせてずらす必要が出る。
向く被写体・場面
- 建物と建物のあいだ、木立のあいだなど、縦に細く抜ける場所
- 空や地面を大きく見せたいが、左右の情報は整理したいとき
- 縦位置で、主役の上下に高さのある空間を残したいとき
- 手前に人物や柱があり、それを暗く沈ませて通路として使えるとき
つまずきやすい点
- 左右の挟みの幅が違い、中央の帯が画面の中心からずれたまま主役を真ん中に置いてしまう
- 挟みが太すぎて帯が細くなり、主役が窮屈に見える
- 片側にしか手前の要素がなく、挟む働きが生まれない
- 挟みにピントや明るさが残り、額縁ではなく散らかった前景として読まれる
どこまで裏が取れているか
この構図についてよく言われることを、出典に当たって確かめた結果です。出典が見つからなかったものは、見つからなかったと書いています。
- 二次資料でしか確認できていない 日本語版Wikipedia「構図」では、額縁構図の囲いは「トンネルのように周囲を囲む形状が多いが、なかには画面の左右両端だけを挟んだサンドイッチ状の場合もある」とされ、その場合をサンドイッチ構図と呼んでトンネル状と区別することがある、と説明されている。 確認できているのは百科事典(三次資料)の記述だけである。さらに、同記事は全体では60件近い出典を付けているのに、このサンドイッチ構図に言及した一文にだけは出典が付いていない。同記事が参考文献に挙げているニコンの写真講座(斎藤勝則 2024)を確認したが、そちらに「サンドイッチ」という語は一度も出てこない。つまり、この呼び分け自体の裏づけは現時点で辿れていない。 出典: Wikipedia(日本語版)「構図」
- 出典によって食い違う 「サンドイッチ構図」が何を挟む形を指すのかは、資料によって食い違う。日本語版Wikipedia「構図」は画面の左右両端を挟んだ形と書いているが、ポートレート撮影講座の連載(マイナビニュース、関根いおん 2021)は「その名の通り被写体を何かしらで挟むように撮影します。被写体が挟まれることで、グッと強調されます」とだけ定義し、挟む向きを左右に限定していない。同記事が挙げている作例も階段の壁・建物の陰・公園の遊具の入口部分で、左右に限られていない。このページが図にしているのは前者、つまり左右両端で挟む形である。 どちらの資料も、その定義がどこから来たのかを示していない。撮影者本人の記事であって、どちらの用法が一般的かを調べたものではない。 出典: 関根いおん (2021)「印象的な1枚を撮影するときに使える『サンドイッチ構図』」僕でもできた!「最短で結果を出す」ポートレート撮影講座(19), マイナビニュース
- 二次資料でしか確認できていない 「左右から挟む」という形を西洋絵画の repoussoir(ルプソワール)に対応させることはできない。repoussoir は英語版Wikipediaでは「左右どちらか片側の前景に置かれ、縁を括ることで見る者の視線を構図の中へ導き、奥行き感を強める人物や物体」と定義されており、挙げられている作例も、ヤーコプ・ファン・ロイスダールが樹木を片側に置いた例のように片側に置くものである。両側から挟むこの構図とは、囲む範囲が一致しない。 確認できているのは百科事典(三次資料)の記事だけである。定義部分の根拠は Ian Chilvers『The Oxford Dictionary of Art and Artists』第5版(オックスフォード大学出版局, 2015)1点のみで、この辞典の原典は有料のため参照できていない。同記事には「この記事は単一の出典に依拠しています」というWikipedia側の整理タグ(2022年9月)が付いている。なお片側だけに前景を置く形は、このページが失敗例として挙げているもの(挟む働きが生まれない形)にあたる。西洋絵画で名前が付いているのは、そちらの側である。 出典: Wikipedia(英語版)「Repoussoir」
- 裏付ける出典が見つからない 「サンドイッチ構図」という名称を誰がいつ使い始めたかは、裏付ける資料を見つけられなかった。 日本語版Wikipedia「構図」(名称の存在は確認できるが、その一文に出典が付いておらず由来の記述もない)、同記事の参考文献一覧から辿ったニコンの写真講座(斎藤勝則 2024。「サンドイッチ」の語は出てこない)、英語版Wikipedia「Framing (visual arts)」「Repoussoir」「Composition (visual arts)」を当たった範囲では、名称の初出や提唱者に触れた記述は見つからなかった。検索エンジンで日本語の解説記事を当たると、上記のマイナビニュースの連載をはじめ用例は多数見つかるが、どれも「その名の通り」と書くだけで由来を説明していない。トンネル構図・対比構図・フィボナッチ螺旋構図まで挙げているタムロンの構図解説(2025年7月1日更新)にも、サンドイッチ構図は載っていない。写真雑誌・紙の教則本の原典には当たっていない。
他の構図の主張とあわせて確かめたい場合は根拠の強さで見るもご覧ください。
関連する構図
- 額縁構図 — 手前にある物で画面の周囲を囲み、その内側に主役を置く構図。囲みが視線の逃げ道をふさぐため、内側に残った領域へ視線が集まりやすいとされる。手前の物で画面の縁を括るという点では西洋絵画のルプソワール(repoussoir)と重なるが、repoussoir は左右どちらか片側に置く手法として定義されており、四方を囲む形とそのまま同じものではない。
- トンネル構図 — 手前の物体で画面の周囲を囲み、その先に被写体を配置する構図。トンネルや木々の間などを額縁のように使う技法として紹介される。
- 二分割構図 — 画面を上下または左右に均等2分割する構図。空と地面、陸と海など性質の異なる要素を対比させる際に使われるとされる。