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レイルマン構図
- railman composition
- 別名: レイルマン比率
画面を4等分する線と2本の対角線が交わる点のうち、中心を除いた4点に主題を置く構図。鉄道写真家・中井精也氏がニコンの写真講座で「レイルマン比率」として示している方法で、交点は三分割法よりも画面の隅に寄る。
図で見る
画面の中で何が起きるか
4等分の線と2本の対角線が交わる点は画面の中心を含めて5つあり、中心を除いた4点は各辺の長さに対してちょうど25%/75%の位置に来る。4等分線も対角線も辺の長さに対する比で決まるので、この位置は画面比が変わっても動かない。三分割法の33%/67%よりも隅に寄るため、主役の外側に残る空きは狭く、反対側には広い空間が残る。この面積の偏りが画面に向きを与える。また4点はいずれも対角線の上に並ぶので、交点に置いた主役と対角側の交点を結ぶ線がそのまま対角線になり、線路や道のような細長い被写体をその線に重ねやすい。ただし隅に寄る分だけ、主役が画面の端で切れないか、周囲に不要なものが写り込まないかの確認は三分割法より必要になる。
向く被写体・場面
- 線路・道路・河川など、画面を対角に横切る細長い被写体があるとき
- 主役を三分割法より隅へ寄せて、進行方向側に広い空間を残したいとき
- 列車や車など、対角線に沿って動いてくる被写体を待って撮るとき
- 空や地面を大きく入れて、被写体の置かれた場所ごと見せたいとき
つまずきやすい点
- 交点が画面の隅に近いため、主役の一部が画面の端で切れる
- 対角線に乗せることを優先して水平が傾き、建物や水平線が斜めになる
- 4点のうち複数に同じ強さの要素を置き、視線が対角線上を往復する
- 中心の交点も同じ交点だと思って主題を置き、日の丸構図になる(定義では中心は除かれる)
- 対角線に沿う被写体がない場面で使い、交点に置いた意味が画面から読み取れない
どこまで裏が取れているか
この構図についてよく言われることを、出典に当たって確かめた結果です。出典が見つからなかったものは、見つからなかったと書いています。
- 原典で確認できる 「レイルマン比率」の定義は、鉄道写真家・中井精也氏が講師を務めた記事のなかに本人の言葉で示されている。中井氏は「画面を縦に4分割した線と、対角線の交点から中心を除いた4点に主題を置く方法。鉄道写真の場合はこれを参考に主題と副題を配置しましょう」と述べ、同じ枠内で三分割法(画面の縦・横それぞれの辺を3分割する線を引き、その交点に主題を置く考え方)と並べて示している。 この記事が示すのは定義までで、比率を誰がいつ考案したのか、「レイルマン」という名称がどこから来たのかは書かれていない。また記事は中井氏を講師として構成されたもので、本文は一貫して一人称で書かれているものの、この定義文そのものが本人の執筆か編集部による要約かは記事からは判別できない。なお同記事で中井氏が「僕が開発した」と述べているのは、主題と副題を動かして学ぶ「構図ドリル」についてであって、レイルマン比率そのものについてではない。 出典: 中井精也「写真が絶対うまくなる2つのルール Powered by Nikon College 特別補講 第1回」GANREF(同記事に「本記事は『デジタルカメラマガジン2010年1月号』に掲載されたものです」との注記あり)
- 出典によって食い違う 同じ構図を二次資料が説明すると、本人の定義にあった限定が落ちることがある。カメラ系解説サイト Camtips は「画面を4分割する線と2つの対角線が交わるポイントを重心とする構成」と説明しており、中井氏の定義にある「縦に」4分割という限定と、「中心を除いた」4点という限定が、どちらも現れない。 本サイトで計算して確認した範囲では、4等分線を縦だけに引いても縦横に引いても交点の4点は同じ位置(25%/75%)になる。したがって両者の差は主題を置く4点の位置には出ず、中心の交点を数に入れるかどうかに出る。 出典: Camtips「構図の基本 -レイルマン構図-」
- 裏付ける出典が見つからない 「レイルマン比率」という名称を誰がいつ付けたのか、またこの比率の初出がどこかを示す資料は見つけられなかった。 上の Camtips は「中井精也氏が提唱している」と書いているが、その根拠となる資料は示していない。DuckDuckGo(html.duckduckgo.com への POST)で「レイルマン比率 中井精也」「レイルマン構図 中井精也」を検索し、中井氏本人が講師を務める上記 GANREF 記事に到達して全文を確認したが、同記事にも命名の経緯は書かれていない。同記事の講師紹介には中井氏が2000年に有限会社レイルマンフォトオフィスを設立したとあるが、社名と比率名を結びつけて説明した記述は確認できていない。
他の構図の主張とあわせて確かめたい場合は根拠の強さで見るもご覧ください。
レイルマン・黄金分割・三分割法・ファイ・グリッドの線の位置そのものは4つのグリッド位置をくらべるで数直線に並べて比較しています。
関連する構図
- 三分割法 — 画面を縦横それぞれ3等分し、その分割線の上や交点に主被写体・水平線を置く考え方。中央から少しずらすことで被写体の周囲に空きが生まれ、画面に向きが出やすくなるとされる。
- 対角線構図 — 画面の対角線上に被写体や線を配置する構図。奥行きや動きを感じさせる技法として紹介される。
- 黄金分割構図 — 画面に対角線を引き、別の頂点からその対角線に垂線を下ろした交点(黄金分割点)に主被写体を置くとされる構図。ただし「黄金分割点」という語は出典によって画面上の別の点を指しており、辺を黄金比 1:1.618 に分割した点(各辺の約38%/62%)を指す解説もある。ここでは両方の説明を併記したうえで、図はキヤノンの用語集の定義で作図している。
- ファイ・グリッド構図 — 画面を 1 : 0.618 : 1 の比で分けたグリッド(分割線は 0.382 と 0.618 の位置)の線上や交点に主被写体を置く構図。三分割法の 1:1:1 より真ん中の帯が狭いのが違いとされる。ただし前提にある「黄金比が美しい」という主張には、実証と呼べる裏付けが確認できていない。