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三分割法
- Rule of Thirds
- 別名: 三分割構図
- 別名: 3分割法
画面を縦横それぞれ3等分し、その分割線の上や交点に主被写体・水平線を置く考え方。中央から少しずらすことで被写体の周囲に空きが生まれ、画面に向きが出やすくなるとされる。
図で見る
画面の中で何が起きるか
主被写体を画面の中央から外すと、被写体の左右(あるいは上下)に量の違う空きができる。空きが広い側は「これから進む方向」「視線の先」として読まれやすく、画面に向きが生まれる。水平線を上下どちらかの分割線に寄せた場合も同様で、空と地面のどちらを主題として見せたいのかが面積の差として表れる。逆に被写体と水平線がともに中央にあると、画面が上下左右で同じ量に分かれ、どこから見ればよいかの手がかりが少なくなりやすい。
向く被写体・場面
- 風景で、空と地面のどちらを主題にするかを面積で示したいとき
- 人物を撮るとき、顔の向いている側に空きを残したいとき
- 動いている被写体を、進行方向側に空間を空けて写したいとき
- 被写体が小さく、周囲の環境も一緒に見せたいとき
つまずきやすい点
- 交点に置くこと自体が目的になり、被写体が画面の端に寄りすぎて窮屈に見える
- 水平線を分割線に合わせることに気を取られ、水平が傾いたまま気づかない
- 分割線に合わない被写体まで無理に当てはめ、意図しない余白ばかりの画面になる
- 主役と副題を両方とも交点に置いた結果、どちらが主役か分からなくなる
どこまで裏が取れているか
この構図についてよく言われることを、出典に当たって確かめた結果です。出典が見つからなかったものは、見つからなかったと書いています。
- 原典で確認できる 「rule of thirds(三分割法)」という表現は、1797年のジョン・トマス・スミスの著書 Remarks on Rural Scenery で初めて書き記されたとされる。 出典: Wikipedia「Rule of thirds」
- 原典・実測で否定されている 「三分割法は黄金比に由来する(あるいはその近似である)」という説明は、原典に当たると成り立たない。初出とされるスミス『Remarks on Rural Scenery』(1797) の本文には、golden も φ も黄金比にあたる語も一度も出てこない。スミスが書いているのは「およそ 2/3 対 1/3、すなわち 1 対 2 の比率が、正確にちょうど半分(the precise formal half)よりも、また間延びした 4/5(the too-far-extending four-fifths)よりも、調和のとれた比率だと分かった」という趣旨であり、論点は 2:1 の分け方である。数値としても 1/3 ≒ 0.333 は 1/φ ≒ 0.618 と一致しない。 反証できるのは「原典が黄金比を根拠にしていない」ことまで。後世に誰がいつ黄金比と結びつけたのかは追えていない。該当の議論は pp.15 前後にあるが、この頁番号はスキャンのOCRから読み取ったもので厳密には確定していない。ただし「黄金比にあたる語が一度も出てこない」ことは、頁を限定せず書物全体の本文テキストに対して確かめている。 出典: John Thomas Smith『Remarks on Rural Scenery』(London, 1797) — Internet Archive 全文スキャン
- 原典で確認できる 三分割法の後ろ盾としてしばしば持ち出される「古代ギリシャ建築は黄金比で造られた」という前提には、実測による反証がある。フランス文化省のパトリス・フトゥキスは紀元前5世紀から紀元後2世紀までの神殿15棟・記念墓18基・石棺8点・墓碑58点の寸法を調べ、「黄金比は古典期(紀元前5世紀)のギリシャ建築からは完全に欠落しており、紀元前3〜2世紀にごく稀に用いられたにすぎない」と結論している。 この研究が否定しているのは古代ギリシャ建築への黄金比の適用であって、三分割法そのものの有効性ではない。 出典: Patrice Foutakis (2014)「Did the Greeks Build According to the Golden Ratio?」Cambridge Archaeological Journal 24(1), pp.71–86
他の構図の主張とあわせて確かめたい場合は根拠の強さで見るもご覧ください。
レイルマン・黄金分割・三分割法・ファイ・グリッドの線の位置そのものは4つのグリッド位置をくらべるで数直線に並べて比較しています。
関連する構図
- リーディングライン — 道・川・柵・手すりといった線状の要素を使って、画面の手前から主被写体へ視線を導く考え方。線の行き先に主役を置くことで、画面の中に見る順番ができやすくなるとされる。