構図と現像を図で理解する写真の教科書

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ティール&オレンジ

暗部に青緑(ティール)、明部にオレンジを置く配色は、2000年代以降の商業映画の定番として語られる。「肌の色がオレンジで、その補色が青緑だから肌が浮き立つ」という説明がほぼ必ず添えられる。このうち検証できるのは、肌の色が測色的にどこにあるかという部分だけである。「だから美しく見える」の部分は、色の組み合わせの好ましさを扱った心理物理実験に照らすと単純ではなく、むしろ素朴な補色調和説とは逆向きの結果がある。起源についての通説(デジタル・インターミディエイト以降に広まった、最初はこの作品)は、裏付けとなる一次資料を見つけられなかった。

図で見る

色相環上の「オレンジ」と「ティール」の位置(目安)色相環の図。円周に沿って色相が並ぶ。真上が色相0度(赤)で、時計回りに角度が増え、右が90度(黄緑)、真下が180度(シアン)、左が270度(青紫)。向かい合う位置(180度差)が補色にあたる。中心からの距離は彩度の強さを表す。 目印はオレンジと呼ばれる位置が色相30度(橙)・中心からの距離100%、その正反対(180°)が色相210度(空色)・中心からの距離100%、ティールと呼ばれる範囲(比較用の細い線)が色相180度(シアン)・中心からの距離80%、ティールと呼ばれる範囲(比較用の細い線)が色相195度(空色)・中心からの距離80%。 直線で結んであるのは30度(橙)と210度(空色)(正反対の色相(180°))。 この図の角度は、色相環(0°=赤 / 120°=緑 / 240°=青 と定義した環)の上で「オレンジ」「ティール」という色名が指すおおよその位置を目安として置いたものであり、実測値でも規格値でもない。肌の色相角として確認できた一次資料は CIELAB 色空間での値だけで、肌色クラスタの中心 (L*, a*, b*) = (59, 19, 20) から計算すると約 46.5°、観察者が好ましいと判断した肌色の中心は色相角 46° と報告されている。ただし CIELAB の色相角は、現像ソフトのカラーホイールの角度とは別の座標系であり、この環の上に重ねて描くことはできない。また「肌の補色は色相角◯◯度である」と述べた出典は見つけられなかったため、正反対の点は色名の位置から機械的に 180° 取っただけのものである。この図から「肌はここにある」と読み取ってはいけない。0°90°180°270°正反対の色相(180°)オレンジと呼ばれる位置その正反対(180°)ティールと呼ばれる範囲ティールと呼ばれる範囲
色相環上の「オレンジ」と「ティール」の位置(目安)この図の角度は、色相環(0°=赤 / 120°=緑 / 240°=青 と定義した環)の上で「オレンジ」「ティール」という色名が指すおおよその位置を目安として置いたものであり、実測値でも規格値でもない。肌の色相角として確認できた一次資料は CIELAB 色空間での値だけで、肌色クラスタの中心 (L*, a*, b*) = (59, 19, 20) から計算すると約 46.5°、観察者が好ましいと判断した肌色の中心は色相角 46° と報告されている。ただし CIELAB の色相角は、現像ソフトのカラーホイールの角度とは別の座標系であり、この環の上に重ねて描くことはできない。また「肌の補色は色相角◯◯度である」と述べた出典は見つけられなかったため、正反対の点は色名の位置から機械的に 180° 取っただけのものである。この図から「肌はここにある」と読み取ってはいけない。
シャドウにティール、ハイライトにオレンジ明暗のゾーンごとに色を乗せた図。左端が黒、右端が白のグレーの帯に対して、シャドウ・中間調・ハイライトのそれぞれへ色を加えている。比較のため、色を乗せていない素のグレー帯も並べてある。 シャドウ(暗部)には色相195度(空色)を強さ35%で加えている(シャドウにティール)、ハイライト(明部)には色相30度(橙)を強さ35%で加えている(ハイライトにオレンジ)。 ゾーンの境目は段差をつけず、隣り合うゾーンの色が滑らかに混ざるように重ねてある。 出典(DaVinci Resolve 公式マニュアルの Split Tone の項)が述べているのは「たとえばハイライトにオレンジ、シャドウにティールを入れる」という組み合わせだけで、色相角も強さも指定されていない。この図の数値はその組み合わせを見せるための例示である。また、この配色が業界の道具に定型として組み込まれている事実は確認できるが、それが客観的に美しいことの根拠にはならない。色を乗せないグレー(比較用)ゾーンごとに色を乗せたグレーシャドウ: 空色195° 強さ35%シャドウにティールハイライト: 橙30° 強さ35%ハイライトにオレンジ
シャドウにティール、ハイライトにオレンジ出典(DaVinci Resolve 公式マニュアルの Split Tone の項)が述べているのは「たとえばハイライトにオレンジ、シャドウにティールを入れる」という組み合わせだけで、色相角も強さも指定されていない。この図の数値はその組み合わせを見せるための例示である。また、この配色が業界の道具に定型として組み込まれている事実は確認できるが、それが客観的に美しいことの根拠にはならない。

この操作が画像に何をするか

ティール&オレンジは、暗部に青緑を、明部にオレンジを乗せるスプリットトーンの一種である。人物を撮ると肌はおおむね画面の明るい側に来るので、明部をオレンジへ寄せると肌の色が強調され、暗部を青緑へ寄せると背景が肌から色相方向に離れる。結果として被写体と背景が色で分離して見える。プロ用グレーディングソフトでは、ひとつのスライダーで「向かい合う色相」の組を選べる形で機能に組み込まれており、この配色を選ぶこと自体が既定の操作になっている。ただし「補色だから調和する・美しい」という説明は、色の組み合わせの好ましさを測った実験に照らすとそのままでは成り立たない。実験が支持しているのは「調和」ではなく「背景との色相差が大きいほど、主役の色そのものは好ましく評価される」という別の形の効果である。

効く場面

つまずきやすい点

どこまで裏が取れているか

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